母語をしっかり→英語は幼児から教えるべき→やっぱ母語を(今ここ!)

グローバル人材の育成のため、一部の家庭での幼児期からの英語と日本語のバイリンガル教育が過熱し、英検を受ける幼児が増えているらしい。

英検幼児のお受験過熱 10年で5倍の2500人

確かに幼児からの英語教育が高まっているのだろう。インターナショナルスクールの志望率も上がっていると言うし、外国人が英語で教える幼稚園も、うちの周りにはたくさんある。でも……それって、本当にいいのかねえ?


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私は学生時代くらいまで「母語をしっかり身につけてから英語をやるべき」派だった。その後、フィリピンやモーリシャスで数カ国語をやすやすと操る人たちと出会って「英語は幼児から教えるべき」派に変わった。だけど、年始にモーリシャスでまたまたいろいろと考えることがあって「やっぱり最初に母語をしっかり」派になった。

■英語など2カ国語教育をしようとすればできるようだ、ある程度までは。

まず、なぜ以前の私が「英語は幼児から教えるべき」派だったかを説明すると、それは単純にたくさんの国で家庭で使う言葉と学校や公共施設で使う言葉を操っている状況があるからだ。フィリピン、インド、モーリシャスなど、たくさんの国が母語のほかに英語もしゃべるように教育している。小学校教育が英語だったりもする。

モーリシャスの場合は、家庭内ではクレオール語(モーリシャスクレオールはフランス語に近い)、学校では学校の先生が英語(フランス語の学校も選べる)で授業をする。で、学校でフランス語を勉強し、家庭外の人とはフランス語で会話。日本でいう敬語のような感覚でフランス語を使う。

だから、ちゃんと教育を受けている人は、クレオール語とフランス語と英語がしゃべれる。(ただし、学校を出てしばらくして英語を話す機会がなくなると、英語を話さなくなってしまう人も多いみたい。)だから、モーリシャス人はフランス語、英語を武器に、世界に仕事をしにいく。モーリシャス人は勤勉だから、労働力として喜ばれる。

これからの時代には、子供は世界で仕事探しをするかもしれない。そう考えると、一見、「やっぱり多言語教育は良いよねー!」「やっぱり英語は小さい頃からやった方がいいよねー!」って思える状況だ。

■二言語を扱う人と、一言語をメインに扱う人では、語彙力に差はないのか?

だけど、年始にちょっとビックリすることを聞いて考え方が一気に変わった。こりゃまずい、と思った。

夫とはフランス語、私とは英語で、その他の人とはクレオール語で話している親戚が「あ、あれ何て言うんだっけ。フランス語でも英語でもクレオールでも出てこない」と言ったのだ。よくよく話を聞いてみると、そういうことって多いらしい。その人に限らず、科学的な言葉や抽象的な言葉はわからないことが多いから、会話には英語やフランス語、時にはクレオールをチャンポンにして話しているそうだ。ちなみにその人は高等教育をちゃんと受けている人。

もちろん、私だって日本語を忘れることもある。(しかも、我が家の会話はけっこうチャンポンだ。)だけど、もう少し深いところで何となく危うい感じを受けた。もし、1日に記憶できる量に限界があるとしたら、多言語を同時に覚えることは、それぞれの言語を母語とする人よりも同じ12歳になったときに一言語についての語彙量に差ができてしまうのではないかと思ったからだ。

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■言葉と思考は密接に絡み合っている

以前に、おもしろいブログを読んだ。

言葉を扱えることと「わかる」ということはある程度、リンクしているはずです。ある事象を自分の言葉の文脈で筋が通るように配置できると「わかった」になります。だとすれば、語彙の多さや国語的な編集能力の度合いは「わかる」ということに関係してきます。そして「わかる」ことが多いほうが少ないよりは仕事の効率もよいでしょう。
語彙が少ないと仕事の能率もわるい?

また、あるアマゾンの民族は「1〜4」を表す言葉と、「5か6」を表す言葉、「いっぱい」のみしか、数を表す言葉を持たないらしい。そうなると、20と30の差は、もう理解できない。(もちろんアマゾンのその民族の知能が低いということではなく、彼らはそういった数字のカウントを必要としない生活をしているらしい。)

以上のことからもわかるように、言葉を知っていることと、思考は密接に絡んでいるのだ。そう考えると、1つの物事について2カ国語で表現を覚えるのと、1つの言語で2つの物事を表す表現を覚えるのでは、後者の方が価値があるように感じる。

■母語は1つでいいんじゃない? 他は母語並に習熟すればいいじゃん

1つの言語をしっかり学ぶと、それが母語になるだろう。しっかり学ぶのはどのくらいかなあ。いろいろと意見はあるだろうけれど、小学生向け国語教材を作っていた実感として、小学校国語をちゃーんと勉強すればかなり世界を泳いでいける感じがする。だから小学生の間くらいは母語でしっかり学ぶのでいいんじゃない?

英語よりも大切なことっていっぱいある。英語ができるからっておかしな感じになっちゃう日本人がたくさんいると夫や周りの外国人からもよく聞く。(これ、いずれブログに書こう。)それに、英語を中学校から勉強して、完璧に話せるようになった人もたくさんいる。

だから、英語教育をそんなに焦って行なっても、むしろ害になるだけなんじゃないかと思うんだ。

あ、そうだ、「インターナショナルスクール」にも、疑問を感じているんだった。そもそも「ナショナル」がなければ「インターナショナル」なんてないという話。今度ブログに書こうっと。おしまい。

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