「おとうさんは、桃太郎というやつに……」について一言

新聞広告クリエーティブコンテストの最優秀賞をとった作品について、一言。私、昔話の研究で修士号をとっているので、ちょっと言っておきたい!

作品についてはこちら→http://youpouch.com/2013/10/18/138978/
(あ、言っておきますが記事について批判しているわけじゃないです。記事はちゃんとしてる!)

「視点を変えて考えよう」という趣旨は買う。でもこの作品は、お相撲さんの写真の上に「肥満は万病のもと!」とキャッチコピーを載せるくらい、乱暴だ!! AKB48の写真を使って校則違反の説明をするくらい、見当はずれだ! 「女性が歌舞伎役者になれないのは、男女不平等だ!」と文句つけるのと同じくらい、意味不明だ!


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■昔話は安易に使われすぎる!
昔話には著作権がないし、多くの人が知っているものだから、けっこう安易に使われちゃう。『泣いた赤鬼』的に、創作にも使われちゃう。だけど、そうやってパロディ的に作ったものって、本当にクリエイティブなのかな? (と、教科書にも載っていたほどの作品、『泣いた赤鬼』にもけんかを売ってみよう。)

■昔話にはルールがある!
でも、男性のみが歌舞伎役者になれるのと同じように昔話というものにはいわば、ルールがある。もともと口承文芸だから文章化されたものとは違うストーリー運びがある。具体的には、
・同様の内容が3回とか5回とか繰り返される場合は、言葉遣いにバラエティなんかつけずに、まったく同じ言葉で語る
・内面的な葛藤などない、わかりやすい人物のみ登場する
・グレーゾーンのないはっきりした世界である
とかね。

■昔話の鬼は苦悩したり親を思ったりして泣かない!
鬼は苦悩したり、鬼の子どもが親を思って泣いたり……っていうのはないんだよ。せいぜい、鬼が改心するくらいだ。わかりやすいの。悪いことをしてても、改心するときは一気に変わる。改心しなかったら殺されるの!

そうじゃなかったら、わかりにくいでしょう? 鬼が改心したと見せかけて、実は改心していなかったり、鬼が改心するかしないか己の信念と敵との力関係を考えて苦慮していたりしたら、話を聞いた子どもは安心してその後眠れないでしょう? 「鬼、やっぱり悪いやつのままなんじゃない?」「鬼がうちにきたらどうしよう」とか思っちゃうはずだ。

■パロディがクリエーティブコンテストで賞をとるなんて残念!
まったく違うルールで構成された世界を持ち出して、再構成するのってパロディにしかすぎない。作品を作った人は、しょうがないと思う。まあ、わかりやすいっちゃあわかりやすい。でも、選考はそれでいいのかな。今や、児童文学の新人賞でも民話のパロディは敬遠されるって言うのに。パロディにすぎないものがクリエーティブコンテストで賞をとっちゃうなんてちょっと残念だ。もっと、クリエーティブなものが、あるはずだ!

昔話には、角界やAKB48のファンや日本俳優境界(歌舞伎役者が所属している)みたいなものがない。だから、批判されないかもしれない。でも、なんかおかしい! なので、ちょっと声をあげてみた。

ではでは、ごきげんよう。

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