『レイヤー化する世界』でグローバリゼーションの先を知る

ジャーナリストの佐々木俊尚さんが10代に向けて書いたという、『レイヤー化する世界−テクノロジーとの共犯関係が始まる』を読んでみました。私は30代だけれど、とってもおもしろかった!! 今、私たちは変換点にいるんだな、とワクワクしました。特にマイノリティだとされている人たちにとっては、救いになる本でもあると思います。

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この本は3部構成。第1部、第2部では私たちが“常識”と考えているものが、いかに歴史的に浅いものかを丁寧に解説しています。世界史の時間に断片的・平面的に習ったことを、つなげて立体的に見せてくれているかのよう。

第1部、第2部を読むと「欧米では」「ヨーロッパでは」「アメリカでは」と、いかにも欧米がすばらしいかのように話すことはここ何百年かの風潮にしかすぎないし、そもそも「国の概念」というのもずいぶん歴史の浅いもので、便宜上つくられたものだとわかります。

この第1部、第2部は書籍全体の6割を占めています。それだけのページを割いて丁寧に説明されているからこそ、「国民国家」と「民主主義」が終わりに近づいているという説明に説得力が出てくるし、自分が当たり前で揺るぎないと思っていた事柄も、簡単に変わってしまうということがわかるのです。

そして第3部。ここで佐々木さんが今後の世界がどうなりつつあるのかを紹介しているのですが、私が特におもしろいとおもったのは以下の部分。

 ウチとソトを厳密に分ける社会では、障害者や同性愛の人、在日外国人と言った少数派はつねにソトとして扱われてしまい、社会のウチからは差別されてしまっていました。
 しかしレイヤー化した<場>では、身体の障害や同性愛、民族などは、個人をつくりあげるたくさんのレイヤーのひとつにすぎません。

 民族のレイヤー。
 職業のレイヤー。
 出身地のレイヤー。
 出身校のレイヤー。
 食の好みのレイヤー。(中略)

 そういうたくさんのレイヤーのひとつが、他の人とはいっぷう変わっている——。障害者や同性愛者、在日外国人であるということは、レイヤーのひとつが他の人と少し違うということにすぎないのです。そして他の人といっぷう変わったレイヤーを持っているということは、そのレイヤーでは同じ特質を持つ人たちと強くしなやかにつながれるようになるということ。それは生きやすさに通ずることはあっても、生きづらさにはなりません。

この本は、How to本ではありません。だから、読み終わっても「……で、私はこれからどうしたらいいの……?」と戸惑うかもしれません。それでも、今、佐々木さんの言う「グローバリゼーションの先」を知っておくことは、今後の世界を生き抜く上で必要なことだと私は感じました。オススメ。

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