【雑感】「さかもと未明さんの乗り物マナー騒動に思う。『乗り物で、赤ちゃんが泣かない国もある』」という記事を書いた。その時に思ったこと

PouchというWebマガジンに「さかもと未明さんの乗り物マナー騒動に思う。『乗り物で、赤ちゃんが泣かない国もある』」という記事を書きました。作家のさかもと未明さんが、JAL機内で泣いている赤ちゃんと母親に文句を言ったこと、またその時の乗務員の対応を批判したことを雑誌「Voice」のコラム「再生JALの心意気」に書い手物議をかもしました。そのことに対する記事で、トルコの人々が赤ちゃんを大切にしているということを取り上げています。

この記事はありがたいことにたくさんの人に読んでもらえて、多くの人に暖かいコメントをいただいています。この記事を書く上で少し考えたことがありました。あまりに私的な意見や経験なのでWebマガジンでは書けなかったけれど、自分のページには書いておこうと思います。

■私もお母さんとお子さんに文句を言ったことがある

実は私、あるお母さんに「お子さんと出て行ってください」と言ってしまったことがあります。非常に忙しい日が何週か続き、やっと行けた温泉での出来事でした。

そのお母さんは、彼女自身のお母さん(お子さんから見たらおばあちゃん)と、やんちゃな小学校2、3年生らしい男の子、4歳くらいと思われる女の子の4人で、私が入っていた露天風呂にやってきました。男の子は露天風呂の中を泳ぎ回り、周囲を気にせずにお湯を飛ばしまくっていたので、正直言えば私はちょっと嫌だなあ、と思っていました。

ひとしきり温泉で泳いだ後、男の子は「ママ、おせんべいが食べたい」と騒ぎだしました。どうするのかなと思って、お母さんの方を見ていたら、お母さんはおばあちゃんに子どもを任せて温泉を出て、おせんべいの袋を持って戻ってきたのです。私はビックリしてしまいました。お風呂でおせんべいを食べさせるなんて、あり得ないって。

そこで私は言ってしまったのです。
「お母さん、ご自宅なら好きになされば良いと思いますけど、ここは大勢の人が利用する温泉です。おせんべいを食べるなんてマナー違反だと思います!! おせんべいを食べるなら温泉の外に出て行って食べさせてください」って。

■文句は言う方も言われる方も良い気持ちではない

言った直後は「良いことを言った」と思いました。でも、気まずそうに露天風呂から出て行く4人を見ながら、どんどん後悔の気持ちが沸き起こってきました。あのお母さんは、もしかしたら「子どもと日頃あまり関われないから、目一杯甘やかしてやろう」と思って温泉に連れてきたのかもしれない。楽しい1日を私が台無しにしたのかもしれないって。結局そんなことで気に病んで、温泉を楽しめないまま帰りました。

結局、文句は言われる方も言う方も楽しいものではないんです。文句を言う方も、そのときはすかっとした気持ちがしても、あとあとになって気分が悪くなることもあります。でも、大勢の人が利用する場所では、どうしても感情の衝突は避けられません。そして、衝突が起こった時に、大切なのは「場の力」だと思います。

■「場の力」をもっと生かしたい

温泉には、その家族と私以外にも大勢の人がいたのです。周りの人が、その家族に「おせんべい食べたら戻っておいで」とか私に「私も同じことを思っていたよ」とか言ってくれたら、その家族の気持ちや私の気持ちも変わったと思うのです。周りの人が緩衝剤になって、感情の衝突が和らぐのです。

今回のさかもと未明さんの記事を読んで、私が疑問だったのは「周りの人はどうしていたんだろうか」ということです。赤ちゃんが飛行機で泣いていて、さかもと未明さんが文句を言った時に、もし誰かが「赤ちゃんは泣くものよ」とか「あなたの方がうるさい」とか、周りの人が何か口出ししていたら、きっと雰囲気は変わったと思うのです。

たとえ逆に「あなたの気持ちはわかるわ〜」とか、さかもと未明さんの気持ちに寄り添ったとしても、雰囲気は変わったのではないでしょうか。周りが何も言わないから、さかもと未明さんの気持ちも暴走してしまったのかもしれません。

忙しく働いていると、どんどん「私は忙しいのよ」と被害者意識に近いような気持ちが高まって、心の許容範囲が狭くなってしまうことがあると思います。また、子育て中は視野が狭くなってしまうこともあると聞いたこともあります。私たちはみんな、完璧ではないのです。完璧ではないところを、「あなたはおかしい」と個人として攻撃するのではなく、周りの環境がうまく救っていくのが、ステキな社会なのではないかな。私はそう思います。

地方のいなかや海外(特に途上国)などに行くと、人々がめんどくさくなるくらい関わってきてくれます。知らない周りの人と関わらないことに慣れている私にとっては気疲れすることもありますが、知らない人と関わりを持つことを、私たちはもう少ししていってもいいのかもしれません。そのための方法は簡単です。知らない人に、ちょっと声をかければ良いのです。

私たちは、もう少し「場の力」を生かしていく方が良いのではないか。そう思っています。

写真=Flickr(David McKelvey

文=FelixSayaka

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